2009 || 2010 || 2011 || 2012 || 2013 || 2014 || 2015 || 2016

|| 五月 ||

京都に奈良 | 高野山1 | 高野山2 | 熊野へ1 | 熊野へ2 | 熊野へ3

 

一口に宿坊といっても

今では

ホテルライクな宿坊や、最近では温泉のでる宿坊など、

様々なタイプのものがあるそうだ。

ただ今回宿泊した無量光院は

どちらかといえば僧侶の修行の場に近い形があると伺い

ここを選ぶことにした。

海外からの宿泊客も多く、相当に寒さが厳しいと聞かされていたし、
宿坊も初体験という事も重なり

少し緊張していた。

 

まずチェックインを行い、その後

僧侶の案内でお部屋に通された。

そこはいずれも廊下に面した部鍵のかからない一間となっており、油断すると寒気が足元から通り抜け、僧侶が足早に廊下を歩く音も、その音量を変えることなく直接侵入してくる。

洗面所やトイレは他の宿泊客ともちろん共用。

 

これが必要最小限の生活である、

という気持ちで臨めば、6畳一室の部屋には暖房も炬燵もあり、外界の寒さからも思いのほか守られているわけで、観光客馴れしないよう、たどたどしくも一線を越えまいとする若い僧侶たちの、修行の一環としての所作もなんだかとても心地よく感じられた。

なにもないのだが、ここには持て余すほど

時間があった。

 

そしてこの時間を
本を読み、お風呂をとり、失礼とは知りつつ、
炬燵に入りながらの写経に費やした。

 

さて夕食である。

五時半に二膳の食事が粛々と運ばれ
そこには暖かい湯豆腐も添えられていた。

 

ここでの食事には、楽しむというより

不思議と

戴く事への感謝がわいてくる。

 

さて、翌朝は六時に院内に鐘の音が鳴り響いた。

外はまだ暗かったが、
よく見ると前日とはうって変り雪景色となっている。
深々と引き締まった空気で溢れた廊下を移動すると、

 

講堂ではすでに護摩焚きが行われていた。

 

この護摩焚きの世界が、独特なものだった。

無量光院では、他の宿坊とは違って、観光客向けではない1時間半のフルのお勤めを行っていた。洞窟に入ったかのような暗い2部屋の中で1部屋は護摩焚き、隣り合ったもう1部屋では読経が行われた。とうとうと続く勤行のなか、片や火を焚き続ける儀式に、途中一般客も参加できる水とりが行われ、火と水の修行という、密教の世界観を身近に味わう事ができた。

 

まさに

宿坊での時間と体験は
かけがえのないものとなったのである。

 

京都に奈良 | 高野山1 | 高野山2 | 熊野へ1 | 熊野へ2 | 熊野へ3

|| 五月 ||

2009 || 2010 || 2011 || 2012 || 2013 || 2014 || 2015 || 2016