治療の対象
鍼灸はオーダーメードの治療。
鍼灸で治療をする場合、症状が同じ場合でも、それぞれの患者さんの状態や体質などに合わせて治療しますので、実際に鍼を打つ箇所や本数、方法などは人によって違っていますし、同じ方であっても、治療する時期によっては異なることもあるのです。
これは鍼灸治療の基盤が東洋医学に基づくことによりますし、西洋的疾患名では治療は行っていませんが、現代社会では、西洋医学的な立場から見た症状に対する鑑別は重要です。以下、その治療対象となる症状の一部を参考までに掲載しました。
婦人の症状
生理痛、生理不順、不妊症、膀胱炎、子宮内膜の症状、更年期障害、いらいら、胸のつかえ、手足の冷え・ほてりなど
血行の改善、自律神経の調整で骨盤内諸器官の状態を整えることは、得意とするところです。 上記のような症状が数年来ある場合、一度試したいものです。
小児の症状
近眼、慢性中耳炎、鼻炎、夜尿症、小児喘息、アトピー性皮膚炎、夜泣き、かんのむしなど
小児に多いアレルギー性の疾患は、内臓に原因がある場合や、その調整役である自律神経の不調和によることが多いのです。このような時、鍼灸治療により体質を根本的に改善し、内臓機能を亢めることが大切です。
成人の症状
頭痛、めまい、円形脱毛、不眠症、帯状疱疹、高血圧、肥満、糖尿病、尿失禁、痛風、リウマチなど
鍼灸治療による体質改善は、ホメオスタシス(生体内の環境維持)を安定化し、円滑な代謝機能をはかり、成人における各種症状を改善させることができます。
内臓の症状
歯痛、歯肉炎、蓄膿症、胸やけ、食欲不振、胃痛、潰瘍、腹痛、痔疾、咽喉の痛み、気管支炎、頻尿、結石、下痢など
皮膚にある400余りの経穴が、それぞれ内臓と関連しており、それを通して治療を行っているため、内臓を原因とする様々な症状にも大変に効果があります。様々な症状を寛解します。
神経・運動器系の症状
顔面神経麻痺、むち打ち症、肩こり、五十肩、腰痛、膝痛、捻挫、卒中後のリハビリなど
筋肉や関節、神経の関わる各種症状で、炎症部位でなければ、鍼灸の適応であることは、広く一般的になってきました。その予後から考えても、この治療方法は最適でしょう。
疾患によっては、禁忌のため患部などには施術できない場合でも、QOL(クオリティオブライフ:生活の質)を向上するために、全身的な治療から、その症状への対応が可能な場合も多くあります。かかりつけの医師とよくご相談いただき、西洋医学との併用もお考えください。