診察について

鍼灸治療では、全身的・部分的な熱・冷、緊張・弛緩や臓腑の状態から全身の陰陽を把握し、経絡経穴の刺鍼施灸によりそのバランスを整えます。

熱・冷は、陰の過剰あるいは陽の不足のとき冷が起こり、陰の不足あるいは陽の過剰のとき熱が起こるとみます。

つまり、過剰な状態を実、不足の状態を虚とすると、東洋医学の診察とは、望診・聞診・問診・切診と呼ばれる四診を通し、身体における陰陽の虚実や臓の虚実を総合的に見極めることともいえるのです。

 

 

四診にて

望診>
患者さんの発する気配・色・動などから、全体的な生命力を陰陽で把握。

聞診>
声の調子・臭いなどに現れる、患者さんの全体的な状態を陰陽で把握。

問診>
寒熱・痛み・発汗・排泄・月経・飲食・睡眠・労働・体質などを伺う。

切診>
全身の状態や脈状を、皮膚を通して、気血の流れとして手で確認。

 

 

東洋医学的な診察のポイント

皮膚>

皮膚の色
状態
拡がりのある熱が過剰
局所的に余分な熱
冷えや湿が多く流れが停滞
血の滞りである?血がある

水分量
湿
過剰
不足
不足
過剰

 

舌>

舌の位置
臓の反応
舌尖
心・肺
舌縁
中心
舌根

舌体
形が大
過剰
-
形が小
不足
-
色が紅
過剰
色が白
不足
色が暗
不足
色が紫
お血

舌苔
潤が滑
過剰
潤が乾
不足
量が無少
不足
量が厚
過剰
色が黄
過剰
色が白
不足


脈>八綱病証の判断、臓腑の状態の把握

部位>
浮(浅い):表証、沈(深い):裏証

拍数>
数(早い):熱証、遅(遅い):寒証

不整>
代(規則的な抜け)、結(不規則な抜けで遅)

調子>
弦(弾かれるような弾力)、緊(張りつめた様な感じ)

腹>臓腑の状態の把握

動気、硬さ、痛みなどで確認

臍の左:肝
臍の上:心
臍  :脾
臍の右:肺
臍の下:腎

背>臓腑の状態の把握

張り、硬さ、皮膚温、汗、色などで確認

第3 胸椎の高さ:肺
第5 胸椎の高さ:心
第9 胸椎の高さ:肝
第11胸椎の高さ:脾
第2 腰椎の高さ:腎

 

 

東洋医学の見立て。

身体に「ながれ」と「かたち」をまず観て、その変化を陰陽論で捉え、
その陰陽のバランスの崩れから疾病を考える。

つまり、陰陽論からの身体の認識。

身体に触れながら、それに基づいて私たちの治療は行れているのです。