鍼灸治療は
西洋医学的に捉えれば、鍼灸治療とは、刺鍼や施灸による皮膚に対する治療です。
ここでポイントは皮膚への刺激ということ、 また、その内部組織への刺激ということです。
まず、皮膚には触圧覚・温度覚・痛覚の感覚装置があります。
刺激という観点から言えば、鍼は機械的刺激に、灸は艾を燃やすことで温熱的刺激になります。
そして、鍼は触圧覚や痛覚、灸は温度覚を引き起こし、
神経を介して中枢(脊髄や脳)からの反応を起すのです。
神経を介した反応としては、
・局所循環への軸索反射
・脊髄での筋や内臓への反射
・脳での自律作用(内分泌性・自律神経性)
・脳からの下行性制御への影響
などが考えられています。
また、鍼や灸では内部の組織、つまり筋膜などの結合組織層への刺激も行います。 その刺激による該当組織周辺の局所循環改善も、治療には重要な要素となると考えられます。そして、僅かな局所的損傷によって修復機能や免疫機能を亢める作用となりうることも重要です。
身体には、外部や内部環境の変化に対応するため、各器官を全身的に調整する系統が必要であり、それが、免疫系・内分泌系・神経系です。鍼灸の治療は、局所的な作用のみならず、こうした調整系への入力を通した治療効果があると考えられています。
つまり鍼灸治療とは、西洋医学的にみると、皮膚を介して、全身調整に関わる様々な器官に影響するような治療である、
とも考えられるのです。